着換きが)” の例文
ぼくはいやで仕方なかったので内藤先生が行ってからそっと球根をむしろの中へかえして、急いで校舎へ入って実習ふく着換きがえてうちに帰った。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
新婿の彌八などは、半身浴びるやうな血を受けて、咄嗟とつさの間に着換きがへをしたほどのひどい姿になつてゐたのです。
「おかえりなさいまし」お内儀かみのおつまは、夫の手から、印鑑いんかん書付かきつけの入った小さい折鞄おりかばんをうけとると、仏壇ぶつだんの前へ載せ、それから着換きがえの羽織を衣桁いこうから取って
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それもきたから、寝られないまでもとこへはいろうと思って、寝巻に着換きがえて、蚊帳かやくって、赤い毛布けっとねのけて、とんと尻持しりもちいて、仰向あおむけになった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
使は本多の邸へ引き取って常の衣服に着換きがえた上で、振舞いを受けることになっていたのである。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
私は直ぐに着換きがへた。そしてロチスター氏がフェアファックス夫人の部屋を出るのをきいていそいでそこへ下りて行つた。老婦人は聖書の朝讀む部分——その日の日課を讀んでゐたのだつた。
お二人は家に入り、母さまがむかえなされて戸のめておられますうちに、童子はいつかご自分のとこのぼって、着換きがえもせずにぐっすりねむってしまわれました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
師範は制服をつけているが、中学は式後大抵たいていは日本服に着換きがえているから、敵味方はすぐわかる。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
平次は手早く顏を洗つて、着換きがへると、十手を腰に、おろ/\する女房のお靜に、——安心しろ——と言つた一べつを與へたまゝ、ガラツ八を先に立てて、朝の路地へパツと飛出しました。
着換きがへさせたやうだね」