看護みと)” の例文
父も母も多く無言で、母は外出などすこしもせず看護みとりつかれて、半病人の様なあおい顔をしつつわずかに私達の世話をしていた。
梟啼く (新字新仮名) / 杉田久女(著)
そしておんみは、おんみがしばしば彼れの悪夢を看護みとり、おんみが軽やかな、母のやうな手で恐しい夢を彼から追ひ却けた或る一人のオレストの感謝となるであらう。
相模女のおむら、始めのうちは、大きい眼を開いて、看護みとるつもりでしたが、次第に猛烈に睡気ねむけに襲われると、我にもあらず、健康ないびきをかいて寝込んでしまいました。
肩のあたりおわれかかりて、茶褐色の犬一頭、飼主の病苦を憂慮きづかいてそを看護みとらんと勤むるごとし。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いくら認め合った親友でも、鼈四郎べつしろうは友の苦しみを看護みとることは好まなかった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いたしてもおりませぬ。それだのにあなた様はお疲労れでもあれば、お怪我もいたしておられますことゆえどうぞお休みくださりませ。兄は大丈夫でございます。妾が看護みとることに致しましょう
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
口々くち/″\押宥おしなだめ、民子たみこせつなぐさめて、おまへ病氣びやうき看護みとるとつて此處こゝあしめられぬ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
行灯あんどんの下には手負のお嘉代が、雇婆やといばあさんに看護みとられて、ウトウトしている様子です。
行燈の下には手負のお嘉代が、雇婆やとひばあさんに看護みとられて、ウトウトして居る樣子です。
なまめかしい六疊で、床に就いてゐる我儘娘を看護みとつてゐたらしい母親のお仲は、平次の顏を見ると、靜かに立つて隣りの部屋に外し、行燈あんどんを中にして相對したのは、あわてて床の上に起き直つた
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
その晩、主人の部屋に泊つたのは、相模女さがみおんなのお村。始めのうちは、大きい眼を開いて、看護みとるつもりでしたが、次第に猛烈に睡氣ねむけおそはれると、我にもあらず、健康ないびきをかいて寢込んで了ひました。
床に就いて居る我儘娘を看護みとって居たらしい母親のお仲は、平次の顔を見ると、静かに立って隣の部屋にはずし、行灯あんどんを中にして相対したのは、あわてて床の上に起直った、娘のお由利の取乱した姿と
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)