白綾しらあや)” の例文
白綾しらあや紅裏もみうら打ったる鎧下よろいした色々糸縅いろいろおどしの鎧、小梨打こなしうちかぶと猩々緋しょうじょうひの陣羽織して、手鑓てやりひっさげ、城内に駈入り鑓を合せ、目覚ましく働きて好き首を取ったのは
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「じゃあ早速ですが、白綾しらあや、色絹、藍紬あいつむぎ、それに上綿を添えた反物たんもの幾巻と一しょに、こよみとお針祝いのお礼金こころざしをたんまり包んで、夕方までにここへ届けて下さいましな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
螺鈿らでん細太刀ほそだちに紺地の水の紋の平緒ひらをを下げ、白綾しらあや水干すゐかん櫻萌黄さくらもえぎに山吹色の下襲したがさね、背には胡籙やなぐひきて老掛おいかけを懸け、露のまゝなる櫻かざして立たれたる四位の少將維盛これもり卿。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
まね樣々さま/″\饗應もてなしゐる内天一坊には白綾しらあや小袖こそで紫純子むらさきどんす丸蔕まるぐけわざにはへ出て小鳥ことり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宿直とのいの侍は薫の脱いで行ったえん狩衣かりぎぬ、高級品の白綾しらあやの衣服などの、なよなよとして美しい香のするのを着たが、自身だけは作り変えることができないのであるから似合わしくない香が放散するのを
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
白綾しらあや小袖こそでに、左の手には扇、右の手には楊枝ようじを持ったる有りの儘の姿を写させ、打死せば忘れ形見にも成るべし、と云い、奉行町野左近将監繁仍しげよりの妻で、もと鶴千代丸の時の乳母だった者に
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
朝々、武大ぶだを稼ぎに追い出してしまうと、金蓮はもう翼をかえして隣の奥へ来ていた。この間じゅうから縫いにかかった白綾しらあや青羅紅絹せいらこうけんがもうちもすんで彼女の膝からその辺に散らかっている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)