しかしすでに監獄かんごくだとか、瘋癲病院ふうてんびょういんだとかの存在そんざいする以上いじょうは、たれかそのうちはいっていねばなりません、貴方あなたでなければ、わたくし、でなければ、ほかものが。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これを無視したものがあればそれはつまり瘋癲病院ふうてんびょういんの文学であろう。
科学者と芸術家 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
成程なるほどときれば監獄かんごくや、瘋癲病院ふうてんびょういんはいされて、正義せいぎ貴方あなた有仰おっしゃとおかちめるでしょう、しかし生活せいかつ実際じっさいがそれでかわるものではありません。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
話の筋も場面も実に尋常普通の市井の出来事で、もっとも瘋癲病院ふうてんびょういんの中で酒精中毒の患者の狂乱する陰惨なはずの場面もありはするがいったいに目先の変わりの少ないある意味では退屈な映画である。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
まあおちなさい、左様さよういまはるとお未来みらいに、監獄かんごくだの、瘋癲病院ふうてんびょういん全廃ぜんぱいされたあかつきには、すなわちこのまど鉄格子てつごうしも、この病院服びょういんふくも、まった無用むようになってしまいましょう、無論むろん
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)