痛烈つうれつ)” の例文
山海經さんかいけうてもきはめて荒唐無稽くわうたうむけいなものがおほい。小説せうせつでは西遊記さいいうきなどにも、いたところ痛烈つうれつなる化物思想ばけものしさう横溢わうえつしてる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
八五郎はツイ痛烈つうれつに浴びせかけましたが、思ひ返して、着てゐた袷を脱ぎ捨てると、少し薄寒さうな浴衣を引かけて、手拭を片手にプイと飛出しました。
是等これら諸氏はみな信者諸氏と同じく、各自の主義主張のために、世界各地より集りきたった真理の友である。おそらく諸氏の論難は、最痛烈つうれつ辛辣しんらつなものであろう。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
(しかし、今夜は破裂しそうだ。是非ぜひ話したいことがあるからといって、おれを呼びつけた。二人をならべておいて、痛烈つうれつにやっつけるつもりかも知れない)
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その時、道江の顔にうかんだ変な笑い、それは自分に対する痛烈つうれつ軽侮けいぶの表現ではなかったのか。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
折る者がなかったしかるに天は痛烈つうれつな試練をくだして生死の巌頭がんとう彷徨ほうこうせしめ増上慢ぞうじょうまんを打ちくだいた。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
痛烈つうれつ骨をえぐるが如き筆をもって、縦横無尽、完膚なきまでに解剖し、批判したものである。