こうら)” の例文
それへ、ほかほかとこうらを干した、の葉に交って青銭の散ったさまして、大小の亀はウ二十、かわらの石の数々居た。中には軽石のごときが交って。——
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すると是は又何事であろう、やがて氏郷の眼からはハラハラと涙がこぼれた。家勝は直ちに看て取ってあやしんだ。が、たちまちにして思った、是は感喜の涙であろうと。かにこうらに似せて穴を掘る。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たらたらとうるしのような腹を正的まともに、こうらに濡色の薄紅うすべにをさしたのが、仰向あおむけにあぎと此方こなたへ、むっくりとして、そして頭のさきに黄色く輪取った、その目がなかだかにくるりと見えて
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)