甲府かうふ)” の例文
「忘れたよ、平次。奧でも生きて居れば、又何にか思ひ付くことがあるかも知れないが、その頃私は甲府かうふの御勤番でな」
ふゆゆきおろしは遠慮ゑんりよなくをきるさむさ、うをといひては甲府かうふまで五みちりにやりて、やう/\𩻩まぐろ刺身さしみくちくらゐ、あなたは御存ごぞんじなけれどお親父とつさんにきい見給みたま
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あの阿星右太五郎樣の一人息子のいう之助樣は、師匠と好い仲だと言はれてをりましたが、今年の春お勤めの不首尾とやらで、甲府かうふで腹を切つたとか聞いてをります。師匠もそれを
勝沼かつぬままちとても東京こゝにての塲末ばすゑぞかし、甲府かうふ流石さすが大厦高樓たいかかうろう躑躅つつじさき城跡しろあとなどところのありとはへど、汽車きしや便たよりよきころにならばらず、ことさら馬車腕車ばしやくるまに一晝夜ちうやをゆられて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)