由縁ゆえん)” の例文
主家小寺家と荒木家とは、いろいろな縁故えんこから旧交浅からぬ間であった。従って、官兵衛も彼の性行と今日ある由縁ゆえんはよく知っていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下等士族のはいが上士に対して不平をいだ由縁ゆえんは、もっぱら門閥虚威きょいの一事にありて、しかもその門閥家の内にて有力者と称する人物にむかって敵対の意をいだくことなれども
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
さればかの大塚小塚を時平大臣夫婦の古墳こふんなりと古くいひつたふるも何か由縁ゆえんある事なるべし。
伊勢屋稲荷に犬のくそと、江戸の名物のようにいわれたほど、おいなりさんは江戸時代の流行はやりものだが、秀郷祀るところの神さまと、どうして代ったのかというと、それにも由縁ゆえんはあるが
当時の時勢より見れば瘠我慢に相違そういなしといえども、その瘠我慢やせがまんこそ帝室ていしつの重きを成したる由縁ゆえんなれ。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
さればかの大塚小塚を時平大臣夫婦の古墳こふんなりと古くいひつたふるも何か由縁ゆえんある事なるべし。
それとも江戸から続いて有名な役者市川団十郎いちかわだんじゅうろうの代々が、大きな眼玉で通っているので、片っぽひっくりかえって団十郎めっかちが転化したものかどうか、それとも他に由縁ゆえんがあるのか知らない。
ついに維新の前後より廃藩置県はいはんちけんの時に際し今日に至るまで、中津藩に限りて無事静穏せいおんなりし由縁ゆえんなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
けだしその由縁ゆえんは、下等士族が、やや家産かさんゆたかなるを得て、仲間なかまの栄誉を取るべき路はただ小吏たるの一事にして、この吏人りじんたらんには必ず算筆の技芸を要するが故に、あたか毎家まいか教育の風を成し
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
断乎として一毫をも仮さざる由縁ゆえんなり。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)