トップ
>
猛虎
>
もうこ
ふりがな文庫
“
猛虎
(
もうこ
)” の例文
戸外には氷のような月光が
溢
(
あふ
)
れていた。その月光の中の
坦々
(
たんたん
)
たるアスファルト道を、一匹の
猛虎
(
もうこ
)
が、まるで奇怪な
幻
(
まぼろし
)
のように走っていた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
猛虎
(
もうこ
)
に満ちたリシアの王メガルヨンと諸神に等しい偉大なるアジァクスとが、相格闘しながら投ずる影に、匹敵することができるであろう。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
痣蟹はピストルを捨てると、
猛虎
(
もうこ
)
のように身を
躍
(
おど
)
らせてジュリアに迫った。その太い手首が、ジュリアの
咽喉部
(
いんこうぶ
)
をギュッと絞めつけようとする。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
たとえば
闇
(
やみ
)
の底に
蹲
(
うずくま
)
ってかすかに息づいている
獅子
(
しし
)
、或は
猛虎
(
もうこ
)
の発散するエネルギーと香りを感じさせる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
恰も
猛虎
(
もうこ
)
の絵の如く人を
畏怖
(
いふ
)
せしむるに足るけれども、見ように依ってはリョウマチの患者が骨を刺すような節々の痛苦をじっと我慢している時の表情に似ている。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
と円陣の一
角
(
かく
)
がくずれると、もうかれらは、こらえもなく
浮
(
う
)
きあしをみだした。忍剣はといえば、その
瞬隙
(
しゅんげき
)
に、
檻
(
おり
)
をでた
猛虎
(
もうこ
)
のごとく、伊那丸の
側
(
そば
)
へかけだしている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
袁傪は、しかし、
供廻
(
ともまわ
)
りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を
斥
(
しりぞ
)
けて、出発した。残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の
猛虎
(
もうこ
)
が
叢
(
くさむら
)
の中から躍り出た。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
見れば不思議にも
猛虎
(
もうこ
)
の姿が浮ぶ。尾端を高く掲げ、前足をついて迫り来る風情がある。字体極めて雄健。傍らに並ぶ一本の竹。根強く張り、幹太く節固く葉重く垂れかかる。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
猛虎
(
もうこ
)
をひつじの家にみちびくようなものだった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「
猛虎
(
もうこ
)
一声、山月高し——」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
やがて、縫いぐるみの
猛虎
(
もうこ
)
は、ムックリと起き上がると、遠ざかっていく二人のあとを追って、ノソノソと歩きはじめた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
換言すれば
獰猛
(
どうもう
)
である、しかも暴君のごとくにではなく、
猛虎
(
もうこ
)
のごとくに。それらの悪鬼は、難渋より罪悪に陥ってゆく。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「そんなどころでない。——甲山の
猛虎
(
もうこ
)
が
斃
(
たお
)
れたからは、
猶予
(
ゆうよ
)
もならぬ。世上に信玄の死が知れわたらぬうちこそじゃ。——藤吉郎、そちはこよいのうち発足して、横山へいそいで帰れ」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、猛獣はなかなかおだてに乗らず、
睨
(
にら
)
み合いをつづけたまま動かない。ただ、徐々に徐々に、
猛虎
(
もうこ
)
の
唸
(
うな
)
り声が高まって行くのが感じられた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は
呆然
(
ぼうぜん
)
としてその不思議な恐るべき変容を見守った、そして
猛虎
(
もうこ
)
が代言人と早変わりしたのを見るような驚きを感じた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
猛
常用漢字
中学
部首:⽝
11画
虎
常用漢字
中学
部首:⾌
8画
“猛虎”で始まる語句
猛虎肉酔初醒時