物入ものいり)” の例文
誰もが知っている通り、春夏秋冬と、松の木ぐらい手入ていれに手数のかかる木はすくない。自然物入ものいりもかさむ。全くやっかい至極な放蕩息子だ。
解説 趣味を通じての先生 (新字新仮名) / 額田六福(著)
新太郎と共に、三人を上野まで送つて呉れたお吉は、さぞ今頃、此間中は詰らぬ物入ものいりをしたと、寢物語に源助にこぼしてゐる事であらう。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それゆえ遊ぶ度々の玉祝儀ぎょくしゅうぎ待合の席料から盆暮の物入ものいりまでを算盤そろばんにかけて見て、この先何箇月間の勘定を一時に支払うと見れば
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)
わづらひ漸く全快はなしたれども足腰あしこしよわ歩行事あゆむことかなはず日々身代に苦勞なすと雖種々しゆ/″\物入ものいりかさみ五年程に地面も賣拂うりはらひ是非なく身上を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
引続いて種々いろ/\物入ものいりのございましたので、身代も余程衰えて来た処へ、其の年の十一月二十九日の籾倉もみぐらの脇から出火で福井町から茅町かやちょう二丁目を焼き払った時に土蔵を落して丸焼に成り
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
送るさま側眼わきめで見てさへ不便ふびんなるに子の可愛かあいさの一筋に小半年ほどすごせしが妻のお久が病中より更に家業も成ぬ上死後しご物入ものいり何ややに家財雜具を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
待ずおほせの通り昨夜私し方へ金子用立くれ候樣申參り候へども當暮は種々いろ/\物入ものいりも多く其上懸先よりいまだすこしも拂ひを請取らずをつと彌吉も心配しんぱい致居候中ゆゑ假令私し身内の者なりとも金子きんす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)