煙出けむだ)” の例文
ひく藁屋わらや二三軒にさんげん煙出けむだしのくちかず、もなしに、やみから潜出もぐりだしたけもののやうにつくばつて、しんまへとほつたとき
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから、みんながうちのなかへはいってきますと、灰かぶりはいつものよごれた着物きものをきて、灰のなかにねころんでいました。そしてまめランプがひとつ、煙出けむだしのなかでぼんやりともっていました。
この屋根の上にあしが生えて、台所の煙出けむだしが、水面へあらわれると、芥溜ごみためのごみがよどんで、泡立つ中へ、この黒髪がさかさに、たぶさからからまっていようも知れぬ。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)