“けむだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
烟出62.5%
煙出37.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
つづいて、はげしいザーという吹雪が、烟出けむだし窓の障子に当って小さな声は消されてしまった。その後は、しばらく死のような沈黙が来た。老婆は、空耳であってくれればいいというねがいおこった。
凍える女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すぐうしろの寺の門の屋根にはすずめつばめが絶え間なくさえずっているので、其処そこ此処ここに製造場の烟出けむだしが幾本も立っているにかかわらず、市街まちからは遠い春の午後ひるすぎ長閉のどけさは充分に心持よくあじわわれた。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この屋根の上にあしが生えて、台所の煙出けむだしが、水面へあらわれると、芥溜ごみためのごみがよどんで、泡立つ中へ、この黒髪がさかさに、たぶさからからまっていようも知れぬ。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)