なさ)” の例文
主人ながら友達ともだち共思ふ仲よしのかうはいつた物の、言過て病にさわりはせぬかと今更冷汗色をかえての心配顏、嬉敷うれしいに附我身のかひなさ堪兼たえかねて夜着に顏差入て忍なき
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
ただすと、源三はじゅつなさそうに、かつは憐愍あわれみ宥恕ゆるしとをうようなかおをしてかすか点頭うなずいた。源三の腹の中はかくしきれなくなって、ここに至ってその継子根性ままここんじょう本相ほんしょうを現してしまった。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何だか効果がなさそうに思えたので、枕元に置いてあった脱脂綿を引きち切って、タップリとひたしながらがしていると、ポーッと上気じょうきしていたその顔が、いつとなく白くなったと思ううちに
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)