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瀉
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そそ
ふりがな文庫
“
瀉
(
そそ
)” の例文
夕暮にこの蝉が鳴くと、妙に寂しい落ち着かない気分に誘い込まれるが、明方であると軽快な調子が
驟
(
にわ
)
か雨の
瀉
(
そそ
)
ぐように賑かだ。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
このうそを、あらねばならぬことのように力説し、人間の本能をその従属者たらしめることに心血を
瀉
(
そそ
)
いで得たりとしている道学者は災いである。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
蓬々
(
ほうほう
)
として始まり、号々として怒り、奔騰狂転せる風は、
沛然
(
はいぜん
)
として至り、
澎然
(
ほうぜん
)
として
瀉
(
そそ
)
ぎ、猛打乱撃するの雨と
伴
(
とも
)
なって、
乾坤
(
けんこん
)
を
震撼
(
しんかん
)
し、
樹石
(
じゅせき
)
を
動盪
(
どうとう
)
しぬ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
駈寄
(
かけよ
)
る岸の柳を
潜
(
くぐ
)
りて、水は深きか、宮は
何処
(
いづこ
)
に、と
葎
(
むぐら
)
の露に
踏滑
(
ふみすべ
)
る身を
危
(
あやふ
)
くも
淵
(
ふち
)
に臨めば、
鞺鞳
(
どうとう
)
と
瀉
(
そそ
)
ぐ早瀬の水は、
駭
(
おどろ
)
く
浪
(
なみ
)
の
体
(
たい
)
を
尽
(
つく
)
し、乱るる流の
文
(
ぶん
)
を
捲
(
ま
)
いて、眼下に幾個の怪き
大石
(
たいせき
)
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
葉子はぎょっとして、血の代わりに心臓の中に氷の水を
瀉
(
そそ
)
ぎこまれたように思った。死のうとする時はとうとう葉子には来ないで、思いもかけず死ぬ時が来たんだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
山頂近くの木立の中には、まだ二、三尺の雪は残っているけれども、麓は既に瑞々しい若葉の浅緑が暖い陽光にけむり、葉裏を洩れる日光は黄金の雨のように
瀉
(
そそ
)
いで来る。
秩父の渓谷美
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
彼を
絡
(
まと
)
へる文は猶解けで、
巌
(
いはほ
)
に
浪
(
なみ
)
の
瀉
(
そそ
)
ぐが如く
懸
(
かか
)
れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
瀉
漢検1級
部首:⽔
18画
“瀉”を含む語句
吐瀉
一瀉千里
一瀉
暴瀉
澤瀉
平瀉
水沢瀉
沢瀉
瀉血
吐瀉物
瀉下
瀉瓶
象瀉
瀉藥
瀉蛙々々
直瀉
立沢瀉
補瀉
瀉海
瀉原
...