うる)” の例文
この刀は外国から買ったものですが、人を殺すにいまだ一度だって、いとすじうるおしたことがありません。私で三代これをつけております。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
深山を下ること二里余り、紺碧こんぺきの水をたたえたる湖のほとりへ出た。ここで渇したるのどを清水にうるおし、物凄き山中を行くと、深林の中に人が歩るいたらしい小径しょうけいがある。
濃いまゆうるみがちな眼つきをした大きな美しい眼、家鴨あひるくちばしのように先端がやや赤味を帯びてそり返ってる太い低い鼻、人のよさそうなやさしげな厚いくちびる、元気な頑丈がんじょうなふっくりしてるあご
歩行し得ざる事ここに五旬、体温高き時は三十九度に上り低き時は三十五度七分にくだる。たちまち寒くしてあわ肌に満ち、たちまち熱くして汗胸をうるおす。しかも一日も精神の不愉快を感じたる事なし。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
うるました。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
彼女は嬉しくて顔を赤らめ、感謝にうるんだ眼付を見せた。彼女は彼のために、化粧に気を配り始めた。美妙な色合のリボンをつけた。クリストフに向かって、微笑ほほえみかけたりなよなよしい眼付をした。