温氣うんき)” の例文
新字:温気
ところへものし、そして發酵はつこうさせるやうな日光が照付てりつけるのであるから、地はむれて、むツと息のまるやうな温氣うんき惡臭あくしうとを放散ほうさんする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
この中を縱横に流れてゐるどぶの水が、温氣うんきでぶつぶつと煮え出し、その中にボーフラが行列をつくり出し、それが一つ/\羽を生やして路地から路地、部屋から部屋へ
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
あつくるしいね、かすりの、大島おほしまなにかでせう、襟垢えりあかいたあはせに、白縮緬しろちりめん兵子帶へこおびはらわたのやうにいて、近頃ちかごろだれます、鐵無地てつむぢ羽織はおりて、温氣うんきに、めりやすの襯衣しやつです。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「この温氣うんきにか?」
其處らは人をすやうな温氣うんきを籠めたガスに、ツすりぼかされてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
その中を、五月の温氣うんきが、えたいの知れない臭氣を含んで流れてゐた。老婆は、これを我がもの顏に、少し腰をかゞめて悠々と歩いた。とき/″\二人の方へふりかへつて、その大きな目を光らした。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)