海老屋えびや)” の例文
もっとも花見ではない、初桜はつざくら故余り人は出ません、其の頃には海老屋えびや扇屋おうぎやの他にい料理茶屋がありまして、柏屋かしわやというは可なり小綺麗にして居りました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「もう、二階ばかり上の高い処に、海老屋えびやの屋根の天水おけの雪の遠見ってのがありました。」
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吉原角町の海老屋えびやへ勤め奉公に賣渡し身の代金しろきん二十兩血の涙にて受取持歸る途中餘りのかなしさにむねふさがりしまゝせめてもの憂晴うきはらしと豐島屋へ立寄て一合飮しに心氣のつかれより我を忘れて暫時しばし睡眠ねむり不※ふと目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其の時まだチラ/\提灯が見えて人通りがあるから、人目に懸ってはならんと云うので吾妻橋を渡り切ると、海老屋えびやという船宿があります。其処そこへ来てトン/\/\/\
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おおおお、三人が手をひきッこで歩行あるいてきます……仲の町も人通りが少いなあ、どうじゃろう、景気の悪い。ちらりほらりで軒行燈のきあんどうに影が映る、——海老屋えびやの表は真暗まっくらだ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おなじく角町すみちょう海老屋えびやの女郎客の難に逢いし事
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)