にし)” の例文
「お房! にしあ、恨むんなら、煉瓦場を恨めよ。なあ。森山の且那が悪いのでも、俺等が悪いのでもねえ、煉瓦場が悪いのだから。」
黒い地帯 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
にし何処のふとだかね? ワルソウのふとだか、それとももつと遠くのふとだか? いつから煉瓦積になつたのけ?」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
「こンれ! にしア、江戸もんけ? は広かべアなあ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「耕平! にしあ早く立派な稼人かせぎてになんなくちゃいけねえぞ。俺等はもう駄目だからなあ。早く立派な馬でも飼うようになって……」
(新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「何も心配しんぺえしるでねえ。うらにしの分まで稼いでやるだから。」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
にしこそ身体からだを大事にしろ。知らねえ他国で、病気でもしたら……」梅三爺は、涙にさえぎられて、言い続けることが出来なかった。
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
何故なんでにし彼様あんねえした奴にぜに遣るだか?」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
にし等あ、馬を大切にしなくちゃなんねえぞ。兄ちゃんの身代わり金で買ったのだから、馬だって、兄ちゃんと同じことだぞ。
(新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「そうが。ほんでは、おども辛抱して、にしあ出世してけえるまで、ほんの少しでも、自分の土地だっちもの買って置くがんな。」
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「なあ、お美代、大崎さは行ぐなよ。なんでもいいから、楽の出来っとごさ行げ。俺死ぬ時、にしは、町場さ嫁にやるように遺言ゆいごんして死ぬがら……」
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
咽喉のど渇いて仕様ねえがら、蜜柑買わせっさやったのに、飴玉など買って……ほして、その飴玉はやあ? にしあ、一人で食ってしまったのがあ?」
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「何、構うごとねえ。家の人達はあの通りみんな不賛成だげっと、俺だけは、にしを百姓にしたぐねえと思って……」
緑の芽 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「大丈夫か? 耕平が大丈夫ならいい。俺はもう先のねえ人間だ。耕平が助かればそれでいい。俺など構ってねえで、にしあ、耕平の方さ行ってやれ。」
(新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「ほんじゃにしあ、片岡さ寄れよ。おら、真っすぐに田さ行んから(父つぁんは田さ真っすぐに行ぎした)って……」
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「ヨーギ、其処そっから、どらんこ(煙草を入れる佩嚢どうらん)持って来う。——ほして、にしも少し休め。うむ、ヨーギ。」と一本の小さな栗の木をしながら言った。
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「そんなごど……にしあも仲々難儀だ。汝あの実母ががも、百姓などしねえげ、まだまだ死ぬのでなかったべ……」
緑の芽 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ちゃんは、にしを百姓にしたぐはねえと思って……貧乏さえしてねげ、女学校さもなんさもやりでえのだが、貧乏なばがりに、ろくに書物も買ってやれねえが……」
緑の芽 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「なんだけえ、まず、お美代。にしの手は……」
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)