水汲みづく)” の例文
薪とる里人さとびとの話によれば、庵の中には玉をまろばす如きやさしき聲して、讀經どきやう響絶ひゞきたゆる時なく、折々をり/\閼伽あか水汲みづくみに、谷川に下りし姿見たる人は
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
勘次かんじえた隙間すきまからしろゆきひかりあざむかれておつぎを水汲みづくみにした。さうして卯平うへいすくはれたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
奇麗きれいさらつてしまつて、井筒にもたれ、井底せいていふかく二つ三つの涌き口から潺々せん/\と清水の湧く音を聴いた時、最早もう水汲みづくみの難行苦行もあとになつたことを、嬉しくもまた残惜のこりをしくも思つた。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
ざんぶざんぶ 水汲みづく
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
あゝ横笛、吾れ人共に誠の道に入りし上は、影よりもあはき昔の事は問ひもせじ語りもせじ、閼伽あか水汲みづくみ絶えて流れに宿す影留らず、觀經の音みて梢にとまる響なし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)