“毆(なぐ)” の例文
新字:殴
傷は與三郎同録、重い鈍器(どんき)で力任せに毆(なぐ)つたもので、恐ろしい力を思はせるもの、血汐は顏から肩へ、胸へ、網の目に流れて居ります。
彼女ははげしく私をゆすぶつて、兩耳を毆(なぐ)り、一言も云はず行つてしまつた。それから一時間もの間、ベシーがなが/\と説教をした。
『野郎(やらう)、俺(おれ)が今(いま)投(な)げたお賽錢(さいせん)を踏(ふ)めアがツて、太(ふて)え奴(やつ)だ。ぶン毆(なぐ)るから然(さ)う思(おも)へツ』と呼(よば)はる。
『娘(むすめ)が女王樣(ぢよわうさま)の耳(みゝ)を毆(なぐ)つた——』と兎(うさぎ)が云(い)ひ初(はじ)めました。愛(あい)ちやんはきやッ/\と笑(わら)ひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
鑵の凹みは、Yが特に、毎朝振り慣れた鐵亞鈴(てつあれい)で以て、左りぎつちよの逞しい腕に力をこめて、Kの口調で云ふと、「えゝ憎き奴め!」とばかり、毆(なぐ)りつけて寄越したのださうであつた。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
雪五郎は若いから、毆(なぐ)られたくらゐでは病氣にもならず、師匠の月齋が息拔きのつもりで江の島の仕事につれて行つたといふわけで
私は、いまに毆(なぐ)られると思つた。擲(ぶ)たれるのを怖れながらも、いまにジョンが、どんな、厭な、見苦しい顏付をして見せるだらうかと思つて、内心樂しんでゐた。
此奴(こいつ)毆(なぐ)られては大變(たいへん)だと余(よ)はコソ/\と逃(に)げ出(だ)した。
「三輪の子分なんかに掛合(かゝりあ)つて居るから惡いんだ。そんな時はな、八、後學の爲に言つて置くが、毆(なぐ)られ損にして逃げ出すんだ」
先刻(さつき)ジョンに毆(なぐ)られて轉(ころ)んで怪我をした私の頭は、未だに痛みが止(や)まず、血が流れてゐた。ジョンが、無法な打擲(ちやうちやく)の手を私に加へても、たしなめる者も無いのだ。
「毆(なぐ)るよ、八。金儲けが好きで、こんな稼業(かげふ)が勤まるかよ。小泥棒を追ひ廻してるこちとらぢやないか、馬鹿々々しい」
「あの男は眼が見えるのだ。伊八にひどく毆(なぐ)られてから、少し眼が見えるやうになつたが、眼あきでは稼業にならないので、今でも盲目(めくら)のふりをして居る」
毆(なぐ)つてくれる亭主でもあつたら、どんなに張り合ひがあるか知れやしない——なんて、叔母さんは言ふんです。
「その手拭に石を包んで佐太郎を毆(なぐ)つた上、大川へ投り込んだのだ——手拭を捨て兼ねたのは乞食根性だが」
「宇佐美の屋敷へネヂ込むんでせう。かうなりや毆(なぐ)り込みでも夜討でも何んでもやりますよ」
「二つ三つ毆(なぐ)られて、土堤の下へ轉がされると、——それ喧嘩だツ——といふ人だかり」
平次はムズムズする程腹を立てましたが、さすがにガラツ八を毆(なぐ)りもなりません。
たかが彫物(ほりもの)職人で、金づくにも腕づくにも、お關を奪ひ返す力はなく、そのうち加賀屋の若い衆に見付けられて、引摺り込まれて散々に毆(なぐ)られたのは、ツイ二た月ほど前のことですよ。
「こゝへ通すがいゝ。毆(なぐ)り込みに來たわけぢやあるめえ、取次にも及ぶものか」
「それに死骸には打ち身があるといふことだが、着物が破れるほどの打ち身は、棒で毆(なぐ)つたくらゐのことではつくものぢやない。それは石垣の上から突き落された傷ぢやないのか——現に」
「盆と正月と、こはし屋と毆(なぐ)り込みと一緒にけしかけたやうなものですね」
「馬鹿、そんな心掛だから、お神樂の清吉に毆(なぐ)られるんぢやないか」
死骸の後頭部のひどい傷は、石か何にかで毆(なぐ)つたものでせう。
「毆(なぐ)り込みでもなんでもやりますよ、親分」
「毆(なぐ)るよ、此の野郎」