さつ)” の例文
あらあらしい血の脈を、どの顔も、こめかみにふくれさせ、人々は一足跳いっそくとびに、原始人めいたさつばつな鼻息や放言になっていた。
二人の罪は尊族さつの共同正犯というところで、直接に手に手こそ下さなかったが、野盗あがりの雑武士ぞうざむらいを使嗾して、花世にとっては親殺し、公子にとっては夫殺しの大業をなしとげたのである。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
一殺多生、一山を焼いても、五山百峰ののりを明らかに照らしめれば、わたくしたち武人のさつは、決してえなく無辜むこの命や文化を亡ぼすものでは、決してないはずと存じまする
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呂蒙りょもうの奸計に陥ちて、呉のさつに遭えり。和尚、わが首を求めて、わが霊をふるわしめよ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大鵬たいほうという鳥がある。よく万里を翔破しょうはします。しかし大鵬の志は燕雀の知る限りではない。古人もいっている——善人がくにを治めるには百年を期して良くざんさつを去ってす——と。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はるか、山に添い、江に臨んで、一陣の殺気が天を衝くばかりに立ち昇っている。必定、敵の伏兵が、さつを含んで待ち受けているものと察せられる。進むべからず、進むべからず——」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとより武蔵の剣はさつでなく、人生呪咀じゅそでもない。
宮本武蔵:01 序、はしがき (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、さつの反対を考え
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)