歯並はならび)” の例文
其所そこ叮嚀ていねいみがいた。かれ歯並はならびいのを常に嬉しく思つてゐる。はだいで綺麗きれいむね摩擦まさつした。かれ皮膚ひふにはこまやかな一種の光沢つやがある。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
鼻の間せはしからず次第高しだいだかに、口小さく、歯並はならびあら/\としてしろく、耳長みあつて縁浅く、身を離れて根まで見透き、額はわざとならず自然の生えどまり、首筋立伸びて後れなしの後髪おくれがみ
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其所で叮嚀ていねいに歯を磨いた。彼は歯並はならびいのを常にうれしく思っている。肌を脱いで綺麗きれいに胸とを摩擦した。彼の皮膚にはこまやかな一種の光沢つやがある。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三四郎はいたけてある三越呉服店の看板を見た。奇麗な女がいてある。其女の顔が何所どこか美禰子に似てゐる。能く見ると眼付めつきちがつてゐる。歯並はならびわからない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
美禰子の顔で尤も三四郎をおどろかしたものは眼付めつき歯並はならびである。与次郎の説によると、あの女はの気味だから、あゝ始終が出るんださうだが、三四郎には決してさうは思へない。……
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)