武蔵守むさしのかみ)” の例文
こう武蔵守むさしのかみ師直もろなおといういやなじじいが、卜部うらべの兼好という生ぐさ坊主に艶書の注文をしたなどというはなしを生ずるに至っているのである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
昔では、織田信長の家来に、美濃みの金山の城主、森武蔵守むさしのかみ長一というのがあり、森蘭丸の兄で、鬼武蔵と言われた豪勇の侍だが、二十七歳で若死している。
「申しおくれました。——足利ノ庄の国元にいて、久しく留守の家職(国家老)を勤めおりまするこう武蔵守むさしのかみ師直もろなおと申すもの。以後、お見知りおき下されましょう」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしその弟、多田次郎朝実ただのじろうともざね手島冠者隆頼てじまのかんじゃたかより太田太郎頼基おおたのたろうよりもとは信頼するに足る存在です。さらに、河内かわちには石川の郡を領する武蔵守むさしのかみ入道義基よしもと、その子の石川判官代義包いしかわのはんがんだいよしかね
んぬる正平しょうへいの昔、武蔵守むさしのかみ殿(高師直こうのもろなお)が雲霞うんかの兵を引具ひきぐして将軍(尊氏たかうじ)御所を打囲まれた折節、兵火の余烟よえんのがれんものとその近辺の卿相雲客けいしょううんかく、或いは六条の長講堂
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
織田信長の家臣で、美濃の金山の城主、森武蔵守むさしのかみ長一というのがある。本能寺で戦死した森蘭丸らんまるの兄で、鬼武蔵と呼ばれたが、これは、ナガカズと読ませたらしい。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
延喜年間に盗の為に殺された前安芸守さきのあきのかみ伴光行、飛騨守ひだのかみ藤原辰忠、上野介かうづけのすけ藤原厚載、武蔵守むさしのかみ高向利春などいふものも、けだし維幾が生擒いけどりされたやうな状態であつたらう。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
んぬる正平しょうへいの昔、武蔵守むさしのかみ殿(高師直こうのもろなお)が雲霞うんかの兵を引具ひきぐして将軍(尊氏たかうじ)御所を打囲まれた折節、兵火の余烟よえんのがれんものとその近辺の卿相雲客けいしょううんかく、或ひは六条の長講堂
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
南朝の御世みよの頃、新田武蔵守むさしのかみ小手指こてさしヶ原の合戦から駈け渡って、足利あしかが方の矢かぜを浴びたのもこの辺りだし——近くは、天正の頃、太田道灌どうかんの一族だの、千葉氏の一党が、幾たびも興り
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)