欠落かけおち)” の例文
「それですめば、かような仕儀にならなんだろうが、あやつが呂宋へ欠落かけおちしたので、むずかしい落着になった」
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
判證文を取つた奴でも欠落かけおちをするもあれば持逃げの吝な奴もある、了簡次第の物だわな、いはゞ馬には乘つて見ろさ、役に立つか立たないか置いて見なけりや知れはせん
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
委細くはしく申せと言ければ傳吉はこゝに於て是非ぜひなく申立る叔母儀は私の母のいもとにて家の相續さうぞくいたせし所むこを三人まで追出おひだし淺治郎と申男の病死びやうし後又善九郎と申者と欠落かけおちし行衞知れざりしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「例の百姓一揆のですか。そう言えば、与川よがわじゃ七人だけ、福島のお役所へ呼び出されることになったそうです。ところが七人が七人とも、途中で欠落かけおちしてしまったという話でさ。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
兵士を振り捨て一人で欠落かけおち
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
判証文を取つた奴でも欠落かけおちをするもあれば持逃げのけちな奴もある、了簡りようけん次第の物だわな、いはば馬には乗つて見ろさ、役に立つか立たないか置いて見なけりや知れはせん
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
上お早が身の素性すじやうより實家じつか森田屋銀五郎の方にて不實ふじつはたらきし事まで殘りなく申立るに越前守殿點頭うなづかれコレ早すれば汝が不儀の樣子森田屋銀五郎に大恩だいおんうけながら其主人宅を取逃とりにげ欠落かけおち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其方儀平常つね/″\身持みもちよろしからず數度すどをつともち不貞ふていの行ひありしのみならず森田屋銀五郎方の大恩をわすれ病人を捨置欠落かけおち致し其上我かをひ傳吉より七十五兩の大金をつかはしたる信義しんぎわすれ憑司と密通みつつう致し傳吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)