横腹よこはら)” の例文
一は市営乗合自動車、一は京成けいせい乗合自動車と、おのおのその車の横腹よこはらに書いてある。市営の車は藍色、京成は黄いろく塗ってある。
寺じまの記 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
たくみなる操縦によって、その快速ロケットは、ひらかれたるギンネコ号の横腹よこはらのなかに収容されたのであった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
同時にかれの手は早くもポケットの懐剣かいけんにかかるやいなや、怪光かいこう一せん、するどくホーベスの横腹よこはらをさした。ホーベスは、びょうぶをたおしたように、ばったり地上にたおれた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
後から仔馬こうまがひょこ/\いて行く。時々道草を食っておくれては、あわてゝけ出しおっついて母馬はは横腹よこはらあたまをすりつける様にして行く。関翁と余と其あとから此さまを眺めつゝ行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
メバル号は、メバルのような形をした潜水艇で、深海の水圧にもよく耐える構造をもっているのだと博士は説明し、艇の横腹よこはらについている扉をあけて、僕に先に艇内へ入れといった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見る/\うち満月が木立こだちを離れるに従ひ河岸かはぎし夜露よつゆをあびた瓦屋根かはらやねや、水に湿れた棒杭ぼうぐひ満潮まんてうに流れ寄る石垣下いしがきした藻草もぐさのちぎれ、船の横腹よこはら竹竿たけざをなぞが、逸早いちはやく月の光を受けてあをく輝き出した。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)