森下もりした)” の例文
それでは塩原しほばらてら何処どこでせうと聞いたところが、浅草あさくさ森下もりしたの——たしか東陽寺とうやうじといふ禅宗寺ぜんしうでらだといふことでございますといふ。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
左様ですよ、大師様へお参りなさるなら、森下もりしたまで行きます。それから又川崎の渡し場まで入らッしゃるのなら、お待ち申しておりますよ。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
淡谷あわやスミ子と森下もりしたトシ子という、おなじ中学の同級生で、淡谷さんのおうちがこの近くにあるので、きょうはマユミねえさまと森下トシ子ちゃんをおまねきして、三人で
塔上の奇術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
明珍恒男みょうちんつねお君は深川森下もりしたの生まれ、初めは私の弟子で、後美術学校入学、卒業後、古社寺保存会の新納忠之介氏の助手として奈良に行き、古彫刻修繕の方をもっぱらやっている。
この幻境の名は川口村あざ森下もりした、訪ふ人あらば俳号龍子りゆうしと尋ねて、我が老畸人を音づれよかし。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
本所ほんじょ六間堀と森下もりしたにまたがって、植辰うえたつという大きな植木屋がある。そのころ菊は染井というのが一般的であったが、数年まえから植辰でも力みだして、一種の風格ある花壇を作って展観させた。
寒橋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
このあとを順に平林ひらばやし森下もりした甲賀こうが國枝くにえだ小酒井こさかいの諸氏が書きつがれて完結した訳です。
その手前の横丁の角が鰌屋どじょうや(これは今もある)。鰌屋横丁を真直に行けば森下もりしたへ出る。右へ移ると薪炭しんたん問屋の丁子屋ちょうじや、その背面うしろが材木町の出はずれになっていて、この通りに前川まえかわという鰻屋がある。
それからすぐ本所ほんじよを出て吾妻橋あづまばしを渡つて、森下もりしたつてさがすと、いまの八軒寺町けんでらまち曹洞宗さうどうしう東陽寺とうやうじといふてらがあつた。門の所で車からりてズツと這入はいると、玄関げんくわん襖紙からかみまるに十のしるしいてゐる。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)