)” の例文
それは、たしかに、二女に共通したものがあるのだったが、鼓村師にはせなかった。安坐の上に乗せた箏に、をたてながら
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
琵琶はいとのおさえ方の確かなのがよいということになっていますが、をさす間だけ撥音の変わる時の艶な響きは女の弾き手のみが現わしうるもので
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
片々に抑えて片々にはじく爪の、安らかに幾関いくせきを往きつ戻りつして、春を限りと乱るる色は甲斐甲斐かいがいしくも豊かである。聞いていると、あの雨をつい昨日きのうのように思う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
充分に、いとと、との融合を計ったうえ、浜子は研究の態度でいった。やれるかやれないかは、この、音の響きひとつであるという真剣さがあふれていた。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
と言って、を平調に下げてき合わせだけをして姫君に与えると、もうすねてもいず美しく弾き出した。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
してまた、ゆるめた絃は最もきにくいのだ。第一、爪音つまおとが出ない、下手へたに強くつめをあてればが動き出す。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
とお言いになると、大将はうやうやしく琴を受け取って、一越いっこつ調のはついとの標準のを置き全体を弾き試みることはせずにそのまま返そうとするのを院は御覧になって
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
右衛門督の爪音つまおとはよく響いた。一つのほうの和琴は父の大臣がいともゆるく、も低くおろして、余韻を重くして、弾いていた。子息のははなやかにがたって、甘美な愛嬌あいきょうがあると聞こえた。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)