染物屋そめものや)” の例文
村へは入った処で染物屋そめものやがあった。米はそこの雨垂落あまだれおちに溜っている美しい砂を見るとしゃがんでそれを両手ですくってはばらばら落してみた。いには両足を投げ出した。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
例えば江州ごうしゅう水口みなくち碩学せきがく中村栗園なかむらりつえんは父の実弟のように親しくして居ましたが、元来がんらい栗園の身分は豊前ぶぜん中津なかつ染物屋そめものやの息子で、所謂素町人の子だから、藩中士族は誰も相手になるものがない
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そのまちには、むかしからの染物屋そめものやがあり、また呉服屋ごふくやや、金物屋かなものやなどがありました。は、西にしりかかっていました。少年しょうねんは、あちらのそらのうす黄色きいろく、ほんのりといろづいたのがかなしかったのです。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかし、ふくろうというとりは、染物屋そめものやでした。いろいろのとりがふくろうのところては、あかだの、あおだの、ねずみいろだの、るりいろだの、黄色きいろだの、いろいろなきれいないろからだめてもらいました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
全体この義勇兵と云うものは不断軍役ぐんえきのあるではなし、大将は御医者様で、少将は染物屋そめものやの主人と云うような者で組立てゝあるけれども、チャント軍服ももって居れば鉄砲も何もすっかり備えて居て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)