柄袋つかぶくろ)” の例文
深編笠に裾縁すそべり野袴、柄袋つかぶくろをかけた蝋鞘の大小、スッキリとした旅装たびよそおい、足を入れたは東海道で、剣侠けんきょう旅へ出たのである。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ちょうどその日の薄暮はくぼ韮崎にらさき方面からこの甲府城下へ入り込んだ武者修行ていの二人の者。前に進んでいたたくましいのが、何を思い出したか、刀の柄袋つかぶくろちょうと打って
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鉄無地の道行みちゆき半合羽はんがっぱ青羅紗あおらしゃ柄袋つかぶくろ浅黄あさぎ甲斐絹かいき手甲脚半てっこうきゃはん霰小紋あられこもん初袷はつあわせを裾短かに着て、袴は穿かず、鉄扇を手に持つばかり。斯うすると竜次郎の男振りは、一入ひとしお目立って光るのであった。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
すげの深い三度笠をかぶりまして、半合羽はんがっぱ柄袋つかぶくろのかゝった大小をたいし、脚半甲きゃはんこうがけ草鞋穿わらじばきで、いかにも旅馴れて居りまする扮装いでたち行李こうりを肩にかけ急いで松倉町から、う細い横町へ曲りに掛ると
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そして大小の濡れるのを防ぐために柄袋つかぶくろをかけた。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
背割羽織せわりばおり裾縁野袴すそべりのばかま柄袋つかぶくろをかけた長目の大小、贅肉ぜいにくのないひきしまった体格、武道に勝れた証拠であろう、涼しいながらに鋭い眼、陽焼けして色こそ赭いけれど、高い鼻薄い唇
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)