松村まつむら)” の例文
震災しんさい以來いらい東京とうきやう梅園うめぞの松村まつむら以外いぐわいには「しるこ」らしい「しるこ」あとつてしまつた。そのかはりにどこもカツフエだらけである。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これが松村まつむらという、わしの工場のだいじな職長です。これに、そのきずついた真珠を、とりかえさせようと思いましてね。
灰色の巨人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
松村まつむら小松こまつかこつて、松賀町まつかちやう淨瑠璃じやうるりをうならうといふ、くらくらとはならんだり、なか白鼠しろねずみ黒鼠くろねずみたはら背負しよつてちよろ/\したのが、みなはひになつたか。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まるでこの間の刑事さん見たいね」〆治は大業おおぎょうに笑いながら「それはありましたわ。松村まつむらさんていうの。この近くの山持の息子さんで、それや大変なのぼせ様でした。 ...
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
このあたり裏道うらみちけて、松村まつむら小松こまつ松賀町まつかちやう——松賀まつかなにも、鶴賀つるかよこなまるにはおよばないが、町々まち/\もふさはしい、小揚連中こあげれんぢう住居すまひそろひ、それ、問屋向とんやむき番頭ばんとう手代てだい、もうそれ不心得ふこゝろえなのが
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「馬鹿に詳しいもんだね」と、聞手の青年、即ち松村まつむらが、こう口を入れた。
一枚の切符 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)