松助まつすけ)” の例文
女「それに家橘かきつが大層渋く成りましたのに、松助まつすけが大層上手に成りましたことね、それに榮之助えいのすけ源之助げんのすけが綺麗でございますね」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一段高くなったところに、年寄の座があって、老眼鏡をかけた、松助まつすけの堀部弥兵衛のようなのがしとねをなおす。
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その春興行には五世菊五郎きくごろうが出勤する筈であったが、病気で急に欠勤することになって、一座は芝翫しかん(後の歌右衛門うたえもん)、梅幸ばいこう八百蔵やおぞう(後の中車ちゅうしゃ)、松助まつすけ家橘かきつ(後の羽左衛門うざえもん
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
篁村氏は、帝劇で松助まつすけの芸を賞めるやうに、禿頭をふり/\感心した。
見たりし盆興行は団菊両優は休みにて秀調しゅうちょう染五郎そめごろう家橘かきつ栄三郎えいざぶろう松助まつすけら一座にて一番目は染五郎の『景清かげきよ中幕なかまくは福地先生新作長唄所作事しょさごと女弁慶おんなべんけい』(秀調の出物だしもの)二番目家橘栄三郎松助の「玄冶店大喜利げんやだなおおぎり」家橘栄三郎の『女鳴神おんななるかみ常磐津ときわず林中りんちゅう出語でがたりなりき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
松助まつすけさん」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
岩「貴方木暮武太夫へ菊五郎きくごろうが湯治に来て居ります、家内を連れて来て居ります、松助まつすけも連れてるそうです」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
てらてらに黒光くろびかりした商人宿あきんどやど上框あがりがまちに腰をおろすと、綿入の袖無を着た松助まつすけの名工柿右衛門にそっくりのお爺さんが律義に這い出してきて、三十郎の顔をひと目見ると
生霊 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)