杉田すぎた)” の例文
彼は三十二歳くらいで、名は杉田すぎた春といい、周囲の人たちに「春さん」と呼ばれ、誠実さと頭のよさとでたいそう敬愛されていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
天保十三年壬寅じんいんの年枕山は二十五になった。正月の始めには江戸に還って、大沢順軒と相携えて杉田すぎたの梅林を訪い金沢かなざわに遊んだ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
してお内儀かみさんはと阿關おせきへば、御存ごぞんじで御座ござりましよ筋向すぢむかふの杉田すぎたやがむすめいろしろいとか恰好かつかううだとかふて世間せけんひと暗雲やみくもめたてたもの御座ござります
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見れば扇子一本おちてあり藤兵衞手に取あげ能々よく/\見るに鐵扇てつせんにて親骨に杉田すぎた三五郎と彫付ほりつけ有りし故掃部大いにいかり然らば是は幸手さつての三五郎が所業しわざちがひし今西の方へ駈出かけだしてゆく人影ひとかげ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)