本居宣長もとおりのりなが)” の例文
また本居宣長もとおりのりながおうもやはり『古事記伝』の初めの総論に「仮字かなの事」という条に、明らかに音の区別であったといっているのであります。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
ここに立てる石碑のうちには、本居宣長もとおりのりながの「酒折宮寿詞さかおりのみやよごと」を平田篤胤ひらたあつたねの筆で書いたものと、甲州の勤王家山県大弐やまがただいにの撰した漢文の碑もある。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さかんな笑い声も起こっている。日ごろ半蔵が尊信する本居宣長もとおりのりなが翁のことについて、又聴またぎきにした話を語り出した一人ひとりの同僚がそこにある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
先生にはまた『愚禿親鸞ぐとくしんらん』というような文章がある。また本居宣長もとおりのりながの思想などにも共鳴を感じられるものがあるようである。
西田先生のことども (新字新仮名) / 三木清(著)
俺を、学問に私すると云つた江戸の村田春海はるみ、古学を鼻にかける伊勢の本居宣長もとおりのりなが、いづれも敵として好敵ではなかつた。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
竹内式部しきぶ山県大弐やまがただいに。カムフラージュされた形で賀茂真淵かもまぶち本居宣長もとおりのりなが以下の国学派がそれである。
尊攘戦略史 (新字新仮名) / 服部之総(著)
本居宣長もとおりのりながのごときは、三十四、五歳時代の著述なる「石上私淑言いそのかみささめごと」の議論は彼が一生の議論にして、彼が論理は六十を越て、毫も変化を見ざりしがごとく、脳力の固定思想の膠着こうちゃく
絶対的人格:正岡先生論 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
本居宣長もとおりのりながなどもなかなか感心して『草庵集玉箒たまははき』という註釈(『本居宣長全集』第十三巻所収)を作ったりしたために、師の賀茂真淵かものまぶちからひどく叱られたりしている、評判の歌集で
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
荷田在満、加茂真淵かものまぶち本居宣長もとおりのりなが、小沢蘆庵ろあんの徒、その標本たるなからんや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
本居宣長もとおりのりながの『玉かつま』十二の巻「はまゆふ」の条下に
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「厭なお父さんね。本居宣長もとおりのりながを御存知ないの?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
本居宣長もとおりのりなが『玉かつま』)
人の言葉――自分の言葉 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
本居宣長もとおりのりなが曰く
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
どうかして新政府をり立て、後進のためにここまで道をあけてくれた本居宣長もとおりのりながらの足跡をその明日にもたどりたいと願った。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「イ」「エ」「オ」音と「ウィ」「ウェ」「ウォ」音との別を表わすものであるということが本居宣長もとおりのりながおうの時代に明らかになり、そうしてもう一つのエにあたる仮名の二類の区別も
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
早く本居宣長もとおりのりながもいっているように、うたうときは音数は少しくらいちがっていても、節の上で加減するからよいのである。形の正整は眼で読むことの快感をもとめるために生れてくるのである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
この大先達だいせんだつの言葉、『玉かつま』の第十二章にある本居宣長もとおりのりながのこの言葉は、今の寛斎にとっては何より有力な味方だった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
先師篤胤その人がすでに医者の出であり、師の師なる本居宣長もとおりのりながもまた医者であった。半蔵らの旧師宮川寛斎が中津川の医者であったことも偶然ではない。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
国学者としての大きな先輩、本居宣長もとおりのりながののこした仕事はこの半蔵らに一層光って見えるようになって来た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
荷田春満かだのあずままろ賀茂真淵かものまぶち本居宣長もとおりのりなが、平田篤胤、それらの国学四大人の御霊代みたましろを安置する空前の勧請遷宮式かんじょうせんぐうしきが山吹村の条山じょうざんで行なわれることになって、すでにその日取りまで定まったからで。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その時の正胤から半蔵に贈られたものである。本居宣長もとおりのりながの筆になった人麿ひとまろの画像もなつかしいものではあったが、それにもまして正香をよろこばせたのは、画像の上に書きつけてある柿本大人のさんだ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)