末枯うらがれ)” の例文
かういふ條件のすべてを完全に備へ、しかも久保田君一流の寫實主義が、立派に成功したものが「戀の日」の卷頭を飾る「末枯うらがれ」である。
また末枯うらがれの季節になるとふもとの村々を襲って屡々しばしば民家に危害を加える狼や狐やまたは猪の隠れ家なりとして、近在の人民にはこよなく怖れられ
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)
ぱッと末枯うらがれの路の上に、燃え立つを見るや否や、慌ててくるりと背後向うしろむきくびすを逆にめぐらしたのを、袖で留められた形になって、足もつちにはつかずと知るべし。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すべて末枯うらがれの、悲しく眼をふせ額をふせた光景でした。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
わがゆくかたは、末枯うらがれあしごしに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
末枯うらがれの原をちこちの水たまり
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
末枯うらがれ」「さざめ雪」「三のきり」「冬至」「影繪」「夏萩」「潮の音」「老犬」の八篇、何れも無戀愛小説である。何處にも戀の場面は無い。
くもくらし、くもくらし、曠野あらの徜徉さまよかり公子こうしが、けものてら炬火たいまつは、末枯うらがれ尾花をばな落葉おちばべにゆるにこそ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わがゆくかたは、末枯うらがれあしの葉ごしに
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
末枯うらがれの歩むにつれて小径現れ
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
失礼だが、おばあさん、場所は場所だし、末枯うらがれだし、雨は降る、普通ただものとは思へないぢやないか。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
末枯うらがれ」の中の人物、田所町の丁字屋ちやうじやの若旦那と生れながら、親讓の店も深川の寮も
末枯うらがれや、——さてしも齋塲ゆには
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
鉄線の葉の末枯うらがれもその一つ
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
末枯うらがれや、——さてしも齋場ゆには
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)