有合ありあわ)” の例文
紫檀したん黒檀こくたんの上等なる台のみには限る間敷、これも粗末なる杉板の台にてもよく、または有合ありあわせのガラクタ道具を利用したるもよく
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
私は、大急ぎで階段を駈け降りて、有合ありあわせの下駄を突っ掛けたが、一足躍り出した途端に思わず固唾かたずを呑んで、釘付けになった。
生不動 (新字新仮名) / 橘外男(著)
と筆を取ってきん三千円確かに預かり置く、要用よう/\の時は何時なんどきでも渡すという証文を書いて、有合ありあわした判をぽかりっとして
父が大の酒好きであることを知っていた叔父は、有合ありあわせのおかずで酒を出した。
有合ありあわせの小さなかめに、一輪投げて、墨江がそこへ持って来ると
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有合ありあわせたる六尺棒をぐん/\と押振廻おっぷりまわして居ります。飯の上のはい同然、蜘蛛くもの子を散らしたように逃げたかと思うと、また集ってまいります。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有合ありあわせた小杉紙こすぎがみ台処だいどころ三帖さんじょうばかり濡して来て、ピッタリと惣右衞門の顔へ当てがって暫く置いた。新吉はそれ程の悪党でもないからブル/\ふるえて居りまする。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云いながら、有合ありあわせた細い粗朶そだで多助の膝をピシイリ/\とちますから、多助は泣きながら
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
右の死骸を藁小屋へ突込つっこみまして、それから有合ありあわした着替の衣類に百五六十両の金を引出して、逃げる支度をしているうちに、門前には百姓が一杯黒山のようにむらがり寄り
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
残菜入ざんさいいれ有合ありあわせのものを詰め、身支度をいたし、清助という百姓の案内で、少し遅くなりましたけれども真間の根本をなだれあがりにあがって参ると、総寧寺の大門だいもんまでは幅広の道で
有合ありあわせたけやき定木じょうぎを取って突然いきなり振向くとたんに、助右衞門の禿げた頭をポオンと打ったから、頭が打割ぶちわれて、血は八方へ散乱いたしてたっ一打ひとうちでぶる/\と身を振わせて倒れますと