月夜つくよ)” の例文
美緒つ! 馬鹿野郎! 眠つちやいかん! 眠るなと言つたら! 反歌! いゝかつ! 十五もちくだち清き月夜つくよに吾妹子に
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
「白露を玉になしたる九月ながつきのありあけの月夜つくよ見れど飽かぬかも」(巻十・二二二九)等、ほか十五、六の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
わがころも夜具やぐ仕換しかへてつつましくいねてけり月夜つくよ夜ざくら
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
まそかゞみ清き月夜つくよに児島の海逢崎山に梅の散る見ゆ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
眼先まなさきに友のしかばねこほれるを月夜つくよ堪へつつ七夜ななよ経しとふ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
長谷はつせ五百槻ゆつきもとかくせるつまあかねさしれる月夜つくよひとてむかも 〔巻十一・二三五三〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
有明ありあけ月夜つくよをあかみ此園このその紅葉もみじ見にその令開ひらかせ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
また、巻十(一八八九)の、「吾が屋前やど毛桃けももの下に月夜つくよさし下心したごころよしうたて此の頃」という歌は、譬喩ひゆ歌ということは直ぐ分かって、少しうるさく感ぜしめる。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)