トップ
>
曲物
>
くせもの
ふりがな文庫
“
曲物
(
くせもの
)” の例文
文三は恐ろしい
顔色
(
がんしょく
)
をしてお勢の
柳眉
(
りゅうび
)
を
顰
(
ひそ
)
めた
嬌面
(
かお
)
を
疾視付
(
にらみつ
)
けたが、恋は
曲物
(
くせもの
)
、こう疾視付けた時でも
尚
(
な
)
お「美は美だ」と思わない訳にはいかなかッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
六郎は
曲物
(
くせもの
)
と思ったので、
己
(
じぶん
)
の体を見せないようにと、ちょと己を見返って、それが木立の陰になっているのを
見極
(
みきわ
)
めると、急いで雨戸の方へ眼をやった。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ほうら、
姐御
(
あねご
)
、こいつが
曲物
(
くせもの
)
だと、あっしの
睨
(
にら
)
んだとおりでさあ! ね、裏は必ず、
真鍮
(
しんちゅう
)
の
共蓋
(
ともぶた
)
になってるはずだ……と、……ほうらね、このとおり蓋がある。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
精悍な
面魂
(
つらだましい
)
に欠けた前歯——これがふと
曲物
(
くせもの
)
のようなのだ。いずれにしても一風変っている。
四月馬鹿
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
胸中深く
秘
(
ひそ
)
められた心臓は、外気に
晒
(
さら
)
されても、何喰わぬ顔して動き続けて居る。君! 全く心臓は
曲物
(
くせもの
)
だよ。「ハートはままにされない」と誰かゞ言ったが、全くその通りだ。
恋愛曲線
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
▼ もっと見る
併し僕は理外の理を信じる気にはなれません。あの部屋で寝るものが、揃いも揃って、気違いになったという様な
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な解釈では満足が出来ません。あの黄色い奴が
曲物
(
くせもの
)
だ。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
斯
(
かゝ
)
る
曲物
(
くせもの
)
を置きたりとて何の
障
(
さは
)
りにもなるまじけれど、その
芥
(
あくた
)
ある処に集り、
穢物
(
ゑぶつ
)
あるところに群がるの性あるを見ては、人間の往々之に類するもの多きを想ひ至りて
聊
(
いさゝ
)
か
心
(
むね
)
悪くなりたれば
秋窓雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
それでようやくこのいわゆる姉妹は
仇
(
あだ
)
し仇浪
浅妻船
(
あさづまぶね
)
の浅ましい世を乗せ渡る
曲物
(
くせもの
)
とも分れば、かかる商売の女は男子を
一瞥
(
いちべつ
)
して、たやすくその童身か否かを判ずる力ぐらいは持つものとも知った。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
“曲物”の解説
曲物(まげもの・わげもの)は、檜・杉などの薄く削り取った材を円形に曲げ、合せ目を樺・桜の皮などで綴じて作った容器。曲物を作る職人を曲物師、特に曲げ職人を曲師という。
(出典:Wikipedia)
曲
常用漢字
小3
部首:⽈
6画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“曲物”で始まる語句
曲物細工