晴上はれあが)” の例文
不思議なほど濃紫こむらさき晴上はれあがった大和の空、晩春四月の薄紅うすべにの華やかな絵のような太陽は、さながら陽気にふるえる様に暖かく黄味きみ光線ひかり注落そそぎおとす。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
九月くぐわつ二十日はつか前後ぜんごに、からりとさわやかにほのあたゝかに晴上はれあがつたあさおな方角はうがくからおな方角はうがくへ、紅舷こうげん銀翼ぎんよくちひさなふねあやつりつゝ、碧瑠璃へきるりそらをきら/\きら/\と幾千萬艘いくせんまんそう
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二の烏 道理かな、説法せっぽうかな。お釈迦様しゃかさまより間違ひのない事を云ふわ。いや、又おいちどのの指環をくわへたのが悪ければ、晴上はれあがつた雨も悪し、ほか/\とした陽気も悪し、にじも悪い、と云はねば成らぬ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)