旋舞せんぶ)” の例文
智深の体にたかッたと見えたものは、みなそれ、一さつに目をまわす蠅の旋舞せんぶといささかの違いもない。——智深は早くも番所小屋の高床たかゆかに戻って
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然し、踏みしめている雪にすべって、二つの体はすぐ旋舞せんぶを描き、間髪かんはつをねらう双方の刃が、双方の小袖を払い合った。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おどろくまもあらず、ごうーッと一じん強風きょうふうにのって、ひくく、黒雲のように、旋舞せんぶしてりた大鷲おおわしがあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お綱は経筥きょうばこにもたれ、弦之丞は何かに腰をかけて、杖に肩をささえていた。しかし、しきりと旋舞せんぶする毒虫やバサと壁をうつの音に、ふたりの神経は容易にしずまらなかった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに、かなり修養のあるものでも、こう乱闘になると血があがってくる、ところへ散りしきる落葉の旋舞せんぶが視覚を眩惑げんわくさせて、ともすると弦之丞の左刃ひとつに駈け廻される。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大太刀の旋舞せんぶが稲妻を描くたびに、袖裏から牡丹ぼたんのようにが狂っている。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちゅうに眼をつりあげて見ると、夕陽ゆうひにきらきらしてほしがまわってくるかと思うばかりな一箇体こたい金輪かなわふちから、雨かきりか、独楽の旋舞せんぶとともにシューッと時ならぬ村雨むらさめのような水ばしりがして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)