新家しんや)” の例文
それよりは、ウンとかせいでな、給金を貯めてな、それで新家しんやの一つも建てて納まることを考えなくっちゃいけねえ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ふくろさえ得心なら、母諸共此方こっちへ引取って宜しい、もし窮屈でいやならば、いさゝ田地でんじでも買い、新家しんやを建って、お母に下婢おんなの一人も附けるくらいの手当をして遣ろうじゃアないか。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
新家しんやとか分家ぶんけとかそういう家を、一つ所へ八九軒建て、それだけで一郷を作り、その家々だけで団結し、共同の収穫所とりいれしょや風呂などを作り、祭葬冠婚の場合には、その中での宗家へ集まり
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
次男に生れて新家しんやを立てたが、若いうちに妻に死なれたので幼ない児供こどもを残して国を飛出した。性来すこぶる器用人で、影画かげえの紙人形を切るのを売物として、はさみ一挺いっちょうで日本中を廻国した変り者だった。
清「何処だって別に入れどこがねえから、新家しんやの六畳の方へ入れてまんまア喰わして置いただ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
新家しんやの徳兵衛といって、イヤなおばさんにはおいか何かに当る、それでも、もう相当の年配で、三十七八というところ、女房も、子供も、充分に備わってしかるべき分家の主人であります。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わが罪を隠そうが為に、土手の甚藏をあざむいて根本の聖天山の谷へ突落つきおとし、上から大石たいせきを突転がしましたから、もう甚藏の助かる気遣きづかいは無いと安心して、二人差向いで、堤下どてした新家しんやで一口飲んで
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宇都宮の弥三郎様が、鬼の首でも取ったつもりで、大喜びで東国へはせ返り、熊谷様の前で溜飲を下げたものだ……それからこっち、本家の方がレンセイ、新家しんやがレンショウとこうなったんだ。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)