数寄屋町すきやちょう)” の例文
旧字:數寄屋町
「まあ待て、先方さき七歳ななつの時から仏蘭西で育ったんなら、手前どものは六歳むッつ年紀としから仲之町なかのちょうで育ったんです、もっとも唯今ただいま数寄屋町すきやちょうりますがね。」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
半蔵らがめざして行った十一屋という宿屋は両国りょうごくの方にある。小網町こあみちょう馬喰町ばくろちょう、日本橋数寄屋町すきやちょう、諸国旅人の泊まる定宿じょうやどもいろいろある中で、半蔵らは両国の宿屋を選ぶことにした。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
其の頃数寄屋町すきやちょうにいた清元三八きよもとさんぱちという幇間たいこもちでございますが、幇間にも種々いろ/\有りまして、野幇間のだいこもあれば吉原の大幇間おおだいこもあります、町の幇間たいこでも一寸ちょっと品のいのもあれば、がら/\致して
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
香以は旧交をたずねて玄魚、魯文の二人を数寄屋町すきやちょうの島村半七方に招いた。取持には有中、米八が来た。宴を撤してから舟を鞘町河岸さやちょうがしし、松井町の稲本に往った。小稲花鳥はもういなかった。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ええ……せがれが相場ごとに掛りまして分散、と申すほど初手からさしたる身上しんしょうでもござりませぬが、かすかには、御覚えがあろうも知れませぬ、……元数寄屋町すきやちょうの中程の、もし、へへへ、煎餅屋の、はい
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)