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敏樹
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としき
そして、ばたばた
近寄つて
來た
夏繪と
敏樹を
靜にさせながら、
二人を
兩方から
抱きよせたまま
蜂の
動作を
眺めつゞけてゐた。
と
受け
答へて、
茶色のスエエタアを
着た、まるまる
肥つた
體をよちよちさせながら、
敏樹は
別の
小さな
鞠を
投げた。が、
見當はづれて、それは
夫の
横へそれてしまつた。
と、しやがんで
膝にぢつと
兩手をついたまま、
敏樹が
何か
恐れるやうな
聲で
囁いた。