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故道
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ふるみち
ふりがな文庫
“
故道
(
ふるみち
)” の例文
と正吉が言う処を、立直って見れば、村の
故道
(
ふるみち
)
を横へ切れる細い路。次第
高
(
だか
)
の棚田に
架
(
かか
)
って、峰からなぞえに
此方
(
こなた
)
へ低い。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
峠のこの
故道
(
ふるみち
)
は、聞いたよりも草が伸びて、古沼の干た、
蘆
(
あし
)
の
茂
(
しげり
)
かと疑うばかり、黄にも紫にも咲交じった花もない、——それは夕暮のせいもあろう。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
車夫は新道の葉かげから、
故道
(
ふるみち
)
の穂ずれに立った、お鶴の姿をきょろきょろと、ためつ、すがめつ。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渡すを、受ける、
熟
(
じっ
)
と手を、そのまま前垂の胸に入れて、つッと行く白い姿、兎が飛ぶかと
故道
(
ふるみち
)
へ。
此方
(
こなた
)
は仰ぐ熱海の空、
颯
(
さっ
)
と吹く風に飜って、紺の外套の裾が
煽
(
あお
)
った。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あゝ
前刻
(
さツき
)
のお
百姓
(
ひやくしやう
)
がものゝ
間違
(
まちがひ
)
でも
故道
(
ふるみち
)
には
蛇
(
へび
)
が
恁
(
か
)
うといつてくれたら、
地獄
(
ぢごく
)
へ
落
(
お
)
ちても
来
(
こ
)
なかつたにと
照
(
て
)
りつけられて、
涙
(
なみだ
)
が
流
(
なが
)
れた、
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
、
今
(
いま
)
でも
悚然
(
ぞツ
)
とする。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
ああさっきのお百姓がものの
間違
(
まちがい
)
でも
故道
(
ふるみち
)
には蛇がこうといってくれたら、
地獄
(
じごく
)
へ落ちても来なかったにと照りつけられて、
涙
(
なみだ
)
が流れた、
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
、今でもぞっとする。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中に
一条
(
ひとすじ
)
、つるくさ交りの
茅萱
(
ちがや
)
高く、
生命
(
いのち
)
を
搦
(
から
)
むと芭蕉の句の
桟橋
(
かけはし
)
というものめきて、奈落へ
落
(
おつ
)
るかと谷底へ、すぐに
前面
(
むこう
)
の峠の松へ、
蔦蔓
(
かずら
)
で釣ったように
攀
(
よ
)
ずる
故道
(
ふるみち
)
の、細々と通じているのが
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
故
常用漢字
小5
部首:⽁
9画
道
常用漢字
小2
部首:⾡
12画
“故道”で始まる語句
故道松並木