“攻(おさ)” の例文
これを中(うち)に誠あれば必ず外に形(あらわ)るというなり。いやしくも心を攻(おさ)めずして、いたずらに外形を責(せむ)るは、あたかも方物に就(つき)て円影を求るがごとし。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
保は師範学校の授くる所の学術が、自己の攻(おさ)めんと欲する所のものと相反しているのを見て、窃(ひそか)に退学を企てていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
興スト/乃チ祖ノ隠徳此ニ到リテ顕(あら)ハル/吾ハ左君ハ右駏蛩ノ如シ/子美ノ詩法ハ審言ニ存シ/定国ノ事業ハ于公ニ剏(はじま)ル/君更ニ少年須ク努力スベシ/文章ハ小技ニシテ何ゾ攻(おさ)ムルニ足ラン/儒術遠ク窺(うかが)フ洛閩ノ域ヲ/台閣必ズ期ス徳望ノ崇(たか)キヲ 嘉永壬子重陽ノ前三日異姓ノ従兄枕山大沼厚晩香書院ニ題ス〕
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
余ヤ土陽僻陬(どようへきすう)ノ郷ニ生レ幼時早ク我父母ヲ喪(うしな)ヒ後初メテ学ノ門ニ入リ好ンデ草木ノ事ヲ攻(おさ)メ復(また)歳華(さいか)ノ改マルヲ知ラズ其間斯学ノタメニハ我父祖ノ業ヲ廃シ我世襲(せしゅう)ノ産ヲ傾ケ今ハ既ニ貧富地ヲ易(か)ヘ疇昔(ちゅうせき)ノ煖飽(だんぽう)ハ亦何(いず)レノ辺ニカ在ル蟋蟀(こおろぎ)鳴キテ妻子ハ其衣ノ薄キヲ訴ヘ米櫃(べいき)乏ヲ告ゲテ釜中(ふちゅう)時ニ魚ヲ生ズ心情紛々寧(いずくん)ゾ俗塵ノ外ニ超然(ちょうぜん)タルヲ
それゆえ五百は彼が兼松石居に従って経史を攻(おさ)めるのを見て、毫(ごう)も容喙(ようかい)せずにいた。成善が儒となるもまた可、医となるもまた不可なるなしとおもったのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)