おい)” の例文
何はおいても、余所よそながら真砂町の様子を、と思うと、元来お蔦あるために、何となくきず持足、思いなしで敷居が高い。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
筆をおいて中途に止めてしまうことも幾度あるか知れぬ、読者諸君、『竹の里人選歌』の三分の一というものは以上のごとき状況によって選ばれたものである、先生なお長らえておられたらば
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
しかうしてその隆盛りうせいに至りし所以ゆゑんのものは、有名の学士羅希らきいでて、之れが改良をはかるにる。然るに吾邦わがくにの学者はつと李園りゑん(原)をいやしみ、おいかへりみざるを以て、之を記するの書、未嘗いまだかつて多しとせず。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
蹴散し洒落しやれ散したれ坂下驛さかもとえきを過るころより我輩はしばらくおい同行どうぎやう三人の鼻の穴次第に擴がりく息角立かどたち洒落も追々おひ/\苦しくなりうどの位來たらうとの弱音よわね梅花道人序開きをなしぬ横川に滊車を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
仏蘭西をおいて顧みず、却て英書を取てこれを我学生に授け、以て大に新主義の蘊奥を極むるの利を与え、以てつまびらかにその細故を講ずるの便を得せしめ、往々学問の独立を謀らんと欲するものならん。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)