)” の例文
土地の凍結がある程度まで進行して、地下水のけ口をふさぎ、内部に圧が加わってくると、地下水の一部は裏込めの層に浸入してくる。
永久凍土地帯 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
一度こうしたけ口を見つけた、彼の心が、その儘止まる筈はなかった——寧ろ、津浪のようにその排け口に向って殺到して行ったのだ。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
淋しさは長いあいだ清三の胸の中で荒れ回っていたが、不意にそれが康子の愛にけ口を発見して、強い勢いでそっちに流れ出した、清三は初めて
須磨寺附近 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
もしそれをこの手紙にけさせることが許されぬとすれば、小生はその言葉で窒息するだろうからであります……
トリスタン (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
聞いて見ると二月頃までは御客もかなりあるそうで、雪をらうと湖水は立派なスケート場になるし、山の麓には、シー・ジャムプなどもあると云うことだ。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
私は、一緒に連れ立って居る妻が、何かと買物の話をするのを聴き流しながら、何うかして不快な憤に対するけ口を、見出みいだそうとしましたが、それはけ口のない憤でありました。
たちあな姫 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
豊富すぎる生活のおりよどみにうんざりし、全身全霊でぶつかって行けるような境遇を求めていたのだったから、うってつけのけ口が見つかったというところだろうが、たった一度
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この場合には、水をかせるなり、両岸を高く築き固めるなりして害を除きます。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
中田は歩きながら、こここの頃、ひどく不運つづきの自分自身に、全く愛想がつき果てて思わず大きな溜息をき出した。
自殺 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
小石川堀へ通ずる大溝へのけが悪いから、——そのときも、僅かなあいだにどぶ板が浮きかかっており、長屋の女房たちがどしゃ降りの中で、いさましく排け口の塵芥じんかいをさらっていた。
ここは三四代前からの牧瀬のやしきで、隣接する歳子の兄の家の敷地も昔はこの邸内になつてゐた。昔この辺は全く江戸の田舎いなかで、きつねたぬきみ、この池のけ口へは渋谷川から水鶏くいなが上つた程だつた。
夏の夜の夢 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
景岡秀三郎は、この方がいい——というように、頸を振って口の中にはいったチェリーの粉をペッペッとき乍ら、狂いそうなウレシサ、とてもたまらないタノシサ——を感じていました。
足の裏 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
黒吉はっと心配をき棄てた。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)