捏造ねつざう)” の例文
私はあへてそれを試みた。そして其間に推測をたくましくしたには相違ないが、余り暴力的な切盛きりもりや、人を馬鹿にした捏造ねつざうはしなかつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
試に思へ、当年蕉翁の俳句を作らざる可らざるは、今日の文人が文章を捏造ねつざうせざる可らざるよりも甚しかりしを。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
ひとつにはどうで他人ひとにもられるのだからといふ自暴自棄やけ理窟りくつこゝろのうちに捏造ねつざうされるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まして事跡から心理を即断して、そして事実を捏造ねつざうし出すに至つては、愈〻いよ/\以て不都合である。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
だい五の怪動物くわいどうぶつは、人間にんげん想像さうざう捏造ねつざうしたもので、日本にほんぬえ希臘ぎりしやのキミーラおよびグリフインとうこれぞくする。りう麒麟等きりんとう此中このなかるものとおもふ。天狗てんぐ印度いんどではとりとしてあるから、矢張やはり此中このうちる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)