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押止
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おしとゞ
ばた/\と
馳來人音に越前守
悴暫しと
押止め何者なるやと尋ぬれば紀州よりの
先觸と呼はりける越前守是を聞き
先觸を
讓り申べしと
聞て左京は大に
悦び
然ば早々
埓明んと立上るを大膳は
暫しと
押止め先々待たれよ今宵の仕事は
袋の物を取り出すよりも
易し
先々一
盃呑だ上の事とて是より
酒宴を
引拔て兄上
御免し下されと云より早く
咽喉にグサと
突立んと爲るを喜内は手早く
押止め其方は
豫て出家の望み有て相州鎌倉なる
尼寺へ參り度
心願の由夫故
豫て我に
暇を呉よと申せしを