承引うけひ)” の例文
本人そのものが容易なところでは承引うけひくまいし、そうかといって、父伊太夫が、小町庵の娘をたずねるのも順序が間違っている。
喜悦よろこびいさみて下りけり依て瀬川せがはが評判江戸中鳴渡なりわたり諸方よりもらはんと云者數多あまたあれ共當人たうにんは是を承引うけひかず今迄の難澁なんじふとても世に云苦勞性くらうしやうなるべし遁世して父と夫のあと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
妾は定まるおっとあれば、更に承引うけひく色もなく、常に強面つれなき返辞もて、かへつてかれたしなめしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
貴殿の御武勇を以て此事を行ひ賜はらば一代の御栄燿ごええう、正に思ひのまゝなるべしと、言葉をつくして説き勧むるに、われ、香煙の芳香にほひにや酔ひたりけむ。一議に及ばず承引うけひきつ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
丁度山口屋で女子こどもが欲しいというので、それに小市はおみゑのなり恰好はくわしく存じて居りまするから、すぐ承引うけひき、先方でも二つ返詞へんじだろうが、金は幾ら入るのだと聞くから、二百両入るというと