成行なりゆく)” の例文
天下動乱の色あらはる。いかゞ成行なりゆくべきらん。心ぼそきものなり。神慮にまかせて、明暮あけくれするまで也。無端事はしなきこと。無端事。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見て扨々さて/\まことに以て御芳志はうしの段有難き仕合なり然れども此度の災難さいなんかく成行なりゆく宿世しゆくせ業因ごふいんなれば誰をうらみ彼を恨みんとは存じ申さず煙草たばこ入を落せしことが我があやまりなりかゝる大金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
汝はさても好運の奴かな、但し一命を助くる代りに、暫く死人の態を装ひ此の場に於て首の真似を致し候へ、さあらば殺すに及ばざることなりと被仰おほせらるれば、こは又いかに成行なりゆくぞと驚きあきれ候間に
中央の知識人でさえ「——いかゞ成行なりゆくべきらん」とたほどのおびえを抱いたのであるから、地方民の心には、もっと恟々きょうきょうとしたものがあったであろう。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出せとの事なるがもしやらずに置けば大變な騷動さうどう成行なりゆくゆゑ早々去状さりじやう御書おかきなされと申すに五郎藏は甚だ不承知なるかほにて返詞へんじもせざれば久兵衞は種々いろ/\説勸ときすゝむると雖も五郎藏は却てはら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
扨又番頭久兵衞は今日文右衞門の一件にて五兵衞始め一どう呼出よびいだされしゆゑ流石さすが惡黨あくたう如何いかゞ成行なりゆくやとひそかに心配なし居たる折柄はからず後藤半四郎入り來り退引のつぴきさせずお秀の離縁状はとられる事になりしかば若旦那五郎藏歸り來らば早々離縁状を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)